シェフを自殺に追い込んだのは我々自身なのか?

どうも違和感を感じるんですよ。
このところ業界関係者にシェアされまくってるこちらの記事。

料理業界よ、これでいいのか? 波紋呼ぶミシュラン3つ星シェフの自殺
(2/13追記:元記事のタイトルが変更されました)

2003年にもフランスの国民にものすごく愛されていた一人のシェフが亡くなりました。

ベルナール・ロワゾーさん。「ゴー&ミヨ」で点数を落とされ、続いて「ミシュラン」も星を落とすとの観測が流れた中での自殺でした。今回と全く同じ構図です。

なるほど記事の前半ではシェフたちが常に強いストレスにさらされていることを伝えてはいる。一般の方には想像しづらいかもしれませんが、シェフにとっていちど手にした名声を失うことは耐え難い恐怖なのです。だからメンタルヘルスケアが必要だと。

ところが後半ではキッチンにおけるいじめや「体育会系のキッチン文化」がやり玉に挙げられ「変革が必要」という結論にもっていかれる。

たしかに我々の業界ではいじめもあるしパワハラも日常茶飯事で起きる。変革が必要であることに異論はない。

しかしそれがシェフを自殺に追いやった原因としていいのだろうか。つまり亡くなったシェフはメンタルが弱かったのだと?

もちろん今となっては自殺の本当の理由はだれにも分からない。

ロワゾーさんが亡くなった時も様々心無い噂が流れましたが、当人がミシュランの星を維持することにひどいストレスを感じていたことは明らかだし、当時レストランガイドのあり方が議論されて、シェフたちによる「ミシュラン掲載拒否」行動が起きたという事実もあります。

どうしてそこをもっと掘り下げないのだろうか。

料理人にとって自身の店に対する評価が大きなプレッシャーになっていることは評価を下す側も十分認識しているのだから、星や点数でレストランを格付けするのはもうやめたらどうですか。ミシュランならできると思いますよ。3人目の犠牲者を出す前に。格付けなんか無くたってレストランガイドとしての機能は損なわれないでしょうに。

レストランガイドの類は未来永劫なくなることはないでしょうから、結局のところ料理人自身がもっと強くならなきゃダメっていうことなんでしょうけどね。


翻って日本では、というと、ミシュランの影響力がさほど大きいとは思えませんね。

一番影響力があるのはやっぱりアレでしょ。

けれど、あのサイトの点数を苦にしてシェフが自殺なんてことには・・・ならないよね?

書いてて思い出したので星新一風ショートショートを貼っとく。

食べられログ

2 Responses to “シェフを自殺に追い込んだのは我々自身なのか?”

  1. 匿名 2021年5月1日 at 15:41 # 返信

    フランス料理シェフの会で一般事務の仕事で働く事になりましたが、パワハラとイジメの個人攻撃が続いてメンタルがやられてしまいました。

    • chef 2021年5月1日 at 20:14 # 返信

      「フランス料理シェフの会」もさまざまあります。
      老人のサロンと化してるようなところはあと数年で息絶えるでしょうからほっとけばいいんですが、そうでないところもあるかもしれません。
      個別の内情は私には知る由もありませんので、とにかくご愁傷様です、としか申し上げようがありません。
      ご自身がつらい思いをされていることは事実なのですから、そんな職場はさっさと辞めて新天地で有意義な人生を送ってください。

      確かに年齢の高い料理人は低学歴でいわゆるDQNが多いことも事実ですが、そんなのばかりではないこともまた事実でございますので、ご同情申し上げるとともに運が悪うございました。と業界を代表していない意見を私からは申し上げておきます

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