ジビエ入荷

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今年もジビエの季節がやってまいりました。

初物でございますよ。

Pigeon_et_perdreau_3 ペルドロー(山ウズラ、左)とピジョン・ラミエ(山バト、右)でございます。

ハトはいつも通り、「サルミ」に。
ペルドローのほうは、ベーコンで巻いてニンニクと一緒にロースト、フォワグラでソースを仕上げる古典的調理法で提供します。

問題はお値段ですな。
いくらにしましょうか…。

そもそもウチくらいの単価の店では使えない食材なんですよ。
アラカルトで半羽ってわけにもいかないし。

いや、お客さんの立場から言うと、半羽で十分とおっしゃる方が多いのは承知してますがね、そういうわけにはいかんのです、カルト屋は。

え~いっ、4500円でどうだっ。高いっすか?
ま、その判断はお客さんにお任せしますが、二人でシェアすれば一皿2250円ですよ。
メチャ安じゃん。

お二人でシェアならちゃんと二皿に分けてお出しします。
それ以上は…、できればご勘弁ください。

一羽のトリを3人4人で分けようとすると…、ケンカになります。
だから店側は責任が持てません。ご自身でデクパージュしてください。

ハナシは変わりますが、
今年の春もホワイトアスパラをメニューに載せてましたが、ご承知の通りアスパラって上のほうと下のほうでは味が違うんですよ。だからせめて一人一本は食べてくださいとお願いしておりましたが、聞き入れてくれない方もいます。そして穂先だけ食べる人と下のほうだけを食べる人がいる。

下のほうだけ食べた人は「苦い…」と思ったはずです。「(この店の)ホワイトアスパラはおいしくない」と。
せっかくの外食で、せっかくのフランス産アスパラに期待したのに。
それはお客さんにとって不幸なことですけど、店にとっても不幸な結果です。

それを私たちは「食べ手の問題」と言ってきました。
「食べる」ことのためには知識と経験が必要だと。
私たちがそういうことを言うことに対してはご批判が多いことも知っています。「好きなように食わせろ」「あれもこれも食わせろ」…。

都内のある地方料理の有名店、「シェア禁止」でも有名でしたが、このたび解禁に踏み切ったそうです。お客さんからは歓迎されているようですが、私は残念…と思っています。

シェフがシェアを嫌う理由の第一は、料理のクオリティーが著しく下がるからなのです。とくに大人数で取り皿に取り分けてしまうと何が何だか分からなくなる。
アスパラの例のごとく、それはお客さんにとっての不利益だということを知っているから。

パテとか、冷たい料理はどうでもいいんですが、温かい料理でソースがあるものの場合が問題なんですよ。
調理場から出てきた皿がその料理の完成形なのです。取り皿を使う方には「ソースもしっかり取ってください」と必ずスタッフに言わせているのは少しでも完成度を下げたくないからなのです。

私は皿をそのまま廻してくれるなら、シェアも一向に構わないと思うんですが、取り皿に取ることがマナーに適っていると考える方もいるようです。

どう思われますか?

せっかくのジビエもこんな面倒なことを言われながら食べる気にはならんですよね。

あぁ、余計なことを言ってまた客を失った…。

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7 Responses to “ジビエ入荷”

  1. konitann 2009年10月7日 at 04:58 # 返信

    フランスの思い出聞くのたのしみ

  2. 164k 2009年10月7日 at 06:06 # 返信

    勉強になりますよ!
    多くの人が慣れている和食中華洋食と違い、異文化フレンチはフレンチの食べ方があるはずで、美味しく食べるにはをもっともっと、シェフのそのストレートな解りやすい表現で、教えてください。

  3. Hulotte 2009年10月8日 at 12:06 # 返信

    う~ん、シェアひとつでも奥が深いですねー。
    > 私は皿をそのまま廻してくれるなら、シェアも一向 に構わないと思> うんですが、取り皿に取ることが マナーに適っていると考える方も > いるようです
    これも、お店の雰囲気に拠るだろうし。
    グランドメゾンではいけないとか。
    自分の皿の料理を少しだけ切り分けて、カトラリーで相手の皿まで運んじゃうのは、やっぱりアウトですかね?
    知識と場数を踏み、その場の雰囲気に応じてスマートに振舞いたいものです。
    その為にも色々教えてください。
    ところで、フランス料理屋さんって、スタッフ同士ではフランス語で話したりしてますよね。
    メニュー(カルトと書くべき?)もフランス語だったりして。
    オヤジシェフさんは日本語、英語、仏語をちりばめた文章をお書きになりますが、どういう使い分けをされているのですか?
    一般の日本人には分からないと思われるフランス語も混じっているように思いますが、それはフランス料理を食べに来る「食べ手」には、その程度の仏語力を要求しているとのメッセージなのでしょうか?
    つまり料理は文化であり、それを理解するには語学力も要ると。(それはそれで、ある程度真理だと思いますが)
    それとも単にカッコをつけてるだけですかね?(^^;;(^^;;
    因みに、グランドメゾンって、和製仏語ではなくフランス人が普通に使う言葉なのでしょうか?
    日本でよく使われるグランメゾンを、メゾンは女性形だから、グランでなくグランドにしておられるのでしょうが、敢えて言うなら、総称として"Les Grandes Maisons"と複数形になるような気もするのですが。

  4. オヤジシェフ 2009年10月11日 at 18:35 # 返信

    どうしてもフランス語に反応しちゃうんですね。
    スルーしようかと思ったんですが…、
    自分が書いたことなのでやっぱり書きます。
    次のエントリで。

  5. ひろ 2010年2月15日 at 22:05 # 返信

    まったく余計なことだとは思いません。
    すごく勉強になりました。
    こういう事はただ禁止としてではなく
    作り手側からもどんどん発信して
    いただければ食べ手と作り手お互い
    良い関係が築けるのではないかと
    思います。

  6. オヤジシェフ 2010年2月16日 at 01:42 # 返信

    ひろさま
    お久しぶりでございますね。
    このところお見かけしませんがどうされていましたか?(別のひろさんでしたらごめんなさい)

  7. ひろ 2010年2月17日 at 09:08 # 返信

    はい、新参者のひろです。
    よく有るハンドルネームで申し訳ないです。
    シェフと同じ寅年生まれのオヤジ一人フレンチ者でございます。
    こんなに私ぴったりのフレンチが有るとは思いもよりませんでした。
    ぜひ近々突撃させていただきます!

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